- 2007-2-1
- eこってニュース
それまで眠く辛かった授業が、突然、女性雑誌の話しのように聞こえ、パッと目が覚めた。
それは、以前、フードコディネーター検定資格取得のため通っていた、専門学校の講師の先生が教えてくれた、平安の頃の話。
ある日の講義、先生が言った『陰陽道』の言葉に、ほぼ女性からなる生徒の興味は、一気に注がれたように見えた。
『えー、今日の話は、平安時代の貴族の食事についてです。
陰陽道わかりますか?
万物すべては陰と陽に分かれ、さらには木・火・土・金・水の五つに分かれるとされる教えです。平安時代、食にも大変影響を及ぼしました。・・・』
陰陽五行説。
皆さんは、ご存知ですか?
その響きに馴染みが無くても、「陰陽師(おんみょうじ)」という映画は、記憶に新しく、中には、安倍晴明(あべのせいめい)の名前を覚えている方もいらっしゃるかも。
映画では、陰陽師(陰陽道を扱う専門家)である安倍晴明が、平安貴族や宮中の吉凶を占い、呪術を用い悪霊と戦う、ちょっと怖い映画でしたが、本来その教えは、中国から日本へ渡来した後、日本で変化を遂げ、自然を観察し、人間界の吉凶を占い、時には健康を保つための、バランス良い食事の仕方を、指南していたのだとか。
先生曰く、この陰陽五行説に基づく考え方が、平安時代の貴族の間でブームになり、この教えが食文化にも影響をもたらしたのだそうです。
五行説と陰陽説が合わさったのが、この教えですが、五行説はちょっと複雑なので、陰陽説についてだけ、分かり易く先生が教えてくれた話を、ほんの少しご紹介すると・・・
例えば、人参、じゃがいも、大根、ゴボウなどの根菜類、これらは陽(プラス)の気質を持つ食べ物とされ、体を温める野菜なのだそうです。
理由は、陽の気(エネルギー)の流れは、土から宇宙へ、流れているとされ、重力(この頃、重力という概念はなかったかもしれませんが)に逆らい上昇するこの動きは、土の中の野菜に、温度を上げる働きを与えるのだとか。
逆に、トマトや胡瓜など枝になり、地上で育つもの。
これは陰(マイナス)の要素を持つ食べ物だそうです。
宇宙からは、大地へ下降するエネルギーが働いているので、土の上に育つ野菜は、体を冷やす力があるのだそうです。
この陰陽両方の食物を、合わせて食べることで、心と体のバランスが保てる、とされていたそうです。
また、味覚にも陰と陽があるそうで、陽の塩味(塩)と、陰の豆から作られる、味噌・醤油は、1つの食物で、陰陽の両方の性質を持った食べ物、ということになるそうです。
(しかし、中性ではなく、どちらかの要素が、強いらしい。)
すべて、科学的根拠のある話ではないので、「へーそんな考え方もあるのね」と、話半分に聞いても、食べ物の見方が変わって見えてくる。
しかし、この話には教訓ともいえる結末が!
平安貴族達は、益々陰陽道へのめり込み、後にこの教えを、本質的なこととして捉えず、美的なものと解釈してゆき、偏食が進んだ結果、ついには栄養失調になり、貴族の力は衰退、逆に粗食だった武士達が、力をつけていったのだとか。
周りが見えなくなった平安貴族達・・・
なんでも、ほどほど、ですね。
現代の日本。難しい陰陽道までいかなくても、理想の食事は、食品をバランス良く食べること。
多品目の食品を使ったメニューを、毎日考えるのは難しいけれど、味噌汁なら簡単!
ちょっと疲れたなーと思ったら、人参、大根等の根菜と、長ネギ、豆腐等、色々な食材を具沢山に入れた味噌汁で、ほっと和んでみませんか?